R5/6/13 篠原演芸場にて原点回帰公演第2弾 “子ども”が主役の物語


2023.07.01

2023年6月13日(火)~14日(水)、原点回帰公演第2弾として『道程』―なんという長く曲がりくねった道なのだろう―が上演されました。昭和30年代後半という、大衆演劇最大の冬の時代を乗り越えて来た人々を、いまに繋がる大切な原点として描き出しました。脚本は、今年1月初演の『ひとひら、朧』をはじめ、新風プロジェクト作品で好評を博している坪田塁が手がけました。

主役の少年・池園飛美生を演じたのは、三ツ矢かける。大量の台詞を一つも抜けることなくやり切った7歳の挑戦は、見事の一言でした。飛美生が思っていることと反対のことを言う遊び、“役者ごっこ”の一環で、うっかり舞台に「出たい」と言ってしまった場面は、脚本のユーモアと演者の愛らしさに、客席から温かな笑いが零れました。だんだん舞台に夢中になっていく飛美生を、客席が見守りました。また、三ツ矢すずかも、同じく劇団で育っている少女・千愛姫を好演しました。未来を担う新星二人に、大きな拍手が送られました。

飛美生の父・彪を演じたのは、恋川純弥。序盤では酒に溺れ、息子から「いなくなっちゃえばいいのに」と言われている男の姿に、少しずつ不器用な愛が見えてくるのはさすがの演技。母・美千湖を演じた舞鼓美は、儚いながらも凛とした存在感を見せました。飛美生が成長した姿を演じた三咲暁人は、最初と最後でビシッと芝居を引き締めました。ラストは父・母・子が揃い、美しい一枚の絵のような幕切れでした。

劇団員は、6月13日は章劇を中心としたメンバー、14日は一見劇団・劇団朱光のメンバーが演じました。楽屋で麻雀をやっている場面など、その時代らしい風景が織り込まれる見所もありました。

口上では、恋川純弥が「懐かしいです。僕が子どもの頃の、大衆演劇の空気を思い出します」と振り返りました。

本作には、過去の篠原演芸場の写真パネルが登場するシーンもありました。今年の原点回帰は、その時代を生きた人々が踏みしめた土の上に、いまの大衆演劇があることを示す作品群になっています。回を重ねるごとに、描かれる時代が現代に近づいていきます。第3弾は8月、最後の第4弾は11月に予定されています。

原点回帰公演 第2弾『道程』―なんという長く曲がりくねった道なのだろう―

公演日:2023年6月13日(火)・14日(水)篠原演芸場