R4/12/18 篠原演芸場にて新風PROJECT革新#5を開催


2023.01.05

2022年12月18日(月)、篠原演芸場で新風プロジェクト革新#5「梅吉物語」が上演されました。主演は劇団暁の三咲暁人若座長。三咲暁人独演戟(ひとりしばい)というサブタイトルが観客の興味をかきたて、上演前から大きな話題を呼びました。

主人公の都鳥梅吉は、大衆演劇でおなじみの森の石松に出てくる都鳥三兄弟の末っ子で、通常のお芝居ではいわば敵役。悪辣な兄2人に対して年が若い分、未熟なお調子者として描かれるケースも多いのですが、今回は石松を兄貴と慕う心優しいキャラクターとして登場。兄たちと石松との間で板挟みになり苦悩する姿が観客の心を揺さぶります。脚本は新風プロジェクト革新#0「円環か螺旋か」をはじめ「春告草子」「桜雪」「くぐつの絲」「恋の形見」など数々の新風プロジェクト作品を手掛けてきた坪田塁が担当し、最後までハラハラドキドキさせました。

石松外伝的なこの梅吉の物語を、25歳になったばかりの三咲暁人がどのようにひとりしばいで見せるのか?今回の公演の最大の注目ポイントはそこにありました。基本、舞台に登場するのは梅吉ひとり…と思いきや、影絵の石松や書き割りの兄たちが随所で出てきて梅吉とからみます。他にもあっと驚く仕掛けをほどこした早変わりや、異なる表現方法で繰り返される立ち回りなど、大衆演劇ならではの工夫を凝らした斬新な演出が鮮烈な印象を残しました。

そしてそれを可能にしたのが人気声優陣×大衆演劇のコラボレーションです。森の石松を声で演じたのは、野島健児。ずる賢い長兄・都鳥吉兵衛には宮下栄治。気の荒い次兄・都鳥常吉には五十嵐雅。そして石松の兄貴分、小松村七五郎と敵役の布橋兼吉の二役を担当したのは、帆世雄一。さらに野島透也が子分役で出演しました。日本を代表する声優陣の声の演技は素晴らしく、三咲暁人との息もぴったり。まるでそれぞれのキャラクターが舞台上に存在するかのようでした。また、人気声優陣が大衆演劇とコラボするということで、初めて大衆演劇を見る声優ファンが篠原演芸場に足を運ぶ良い機会になったことも特筆すべきでしょう。

豪華声優陣の協力を得て、これまでに誰も見たことのない、まったく新しいひとりしばいが実現した新風プロジェクト革新#5「梅吉物語」。最後の場面はたくさんの観客の涙を誘い、新風プロジェクト革新#4「遠州傾キモノ 森の石松 閻魔堂奇譚」とともに、芝居を、石松を愛する観客の胸に忘れられない感動を残しました。